39.愛の証を
ゆい(只野)→タケヒト(1765pt) 「最近の若いコはみんなすすんでるんだよ。それで、かずひろは何人くらいと付きあったの?」
タケヒト(1730pt)→ゆい(只野) 「かずひろって誰?僕のほかに誰かいたの?」
ゆい(只野)→タケヒト(1730pt) 「かずひろ!?」
タケヒト(1695pt)→ゆい(只野) 「さっき僕にかずひろって書いて送ってきたでしょ?かずひろって誰?今まで僕をかずひろだって思ってメールしてたの?」
しまった!他の客の名前と書き誤った。わたしとしたことが…
たまたまこれが嫉妬深い客だったりする。どうかわすべきか?
タケヒト(1625pt)→ゆい(只野) 「メールしてる相手、僕だけだって言ったじゃない!!どういうことなのか、納得いくように説明してよ!」
正攻法でいくと「弟と名前まちがえたの」とかはぐらかしたり隠したりするけど、
その場のひらめきで逆に認めてみることにした。
ゆい(只野)→タケヒト(1625pt) 「うん、他の男の人とメールしてたの。そのひとがかずひろっていうんだ…」
タケヒト(1590pt)→ゆい(只野) 「そんな!ショックだよ!こっちは今まで相手は僕だけだと思ってメールしてきたのに…。どう責任取ってくれるの!?」
責任?
ゆい(只野)→タケヒト(1590pt) 「その人とはもうメールしないって言っても、ゆるしてくれないの?」
タケヒト(1555pt)→ゆい(只野) 「そんな言葉だけじゃ、もう信頼してあげられない!どれだけ好きなのか、行動で見せてよ!好きだっていう証拠見せてよ!」
嫉妬の評価は難しい。
嫉妬に狂う人は嫌。嫉妬されないのも嫌?
愛されているという安心は、自分自身への自信の投影か。
とするなら、
愛されていないという不安は、自分自身への自信のなさの投影、というのが対偶か。
嫉妬は悪質なもの?それとも、抑えきれないほどの強い好意か。
とにかく、アドレスとか会うとか、客の方から言い出さないうちに処理したい。
ゆい(只野)→タケヒト(1555pt) 「うん、それがね、わたしは他に本命の人がいるよって言ってるんだけど、その人、それでもゆいのことがいいって言ってくれるの」
タケヒト(1520pt)→ゆい(只野) 「それで、そいつとダラダラとメールやっていたわけだ!?」
ゆい(只野)→タケヒト(1520pt) 「でも、すぐ会いに来いとか、わたしに無理なこと一つ言わないで何でも言うこと聞こうとしてくれるの…そこまで思ってくれてるから、だんだんその人のこと、無視してると心が痛くなってきて」
タケヒト(1485pt)→ゆい(只野) 「それで、ゆいはそいつのことが好きなの?」
ゆい(只野)→タケヒト(1485pt) 「ううん。自然な気持ちでどっちか選べって言われたら、ゆい、タケヒトのこと選ぶよ。でも、こんなの愛じゃないかもしれないけど、そこまで自分を犠牲にしてくれる人のこと、何にも悩まずに切り捨てるなんて、ゆい、そこまで冷酷な人間になれないよ!愛することが大切なのか、愛されることか大切なのか、選びきれずにわからなくなってるの!」
タケヒト君。わたしはあんたが、
女が条件の良い方へ行っても仕方ないことだと、それくらいわかる奴だと知っている。
なんだかんだ言っても、『ゆい』を捨てきれない男だと、知っている。
さあ、どうくるの?
ヤセ我慢、見せてよ?
タケヒト(1450pt)→ゆい(只野) 「わかった…。ゆいの人のいいところが、その人を捨てきれなかったんだね?僕も少し我慢を覚えるようにするから」
やった。
愛の証は、あげられない。
TEL番も、本当のメールアドレスもあげられない。
ないものは、あげられない。
あげるのはネット越しの、愛の幻。
――― わたしはサクラ。