37.北斗な千夏
女には辛い辛い時期がある。
月に一回ほど。
一週間ほど。
わたしは2日目が一番辛い
…
ちなみにこの日がソノ日だった。
仕事なんかしたくない…
…我慢して仕事。
バラエティ豊富な品揃え。
サクラにとってのそれとは、多様な個性のキャラクターを用意するということに他ならない。
スケールになるのが、有名人では誰々に似てます、という方法。
「わたし、○○に似てるよ」
などと書いてあげれば、お客さんのイメージの手助けになる。
ゆうこりん ≒ 天然?
伊東美咲 ≒ 高嶺の美女 など。
Myキャラ『千夏』は男っぽい口のききかたをするという設定。
外見: 若槻千夏
中身: 北斗 晶
というイメージからうまれた。そこそこ人気が出た。
ところで、仕事が辛い、こんな日のことである。
対価交換を要求してくる客はうっとうしい…
見栄晴(1235pt)→千夏(只野) 「こっちだってポイント代もうかなりつかってるしさ、そろそろそっちの直アドレスもらってもいいでしょ?」
たけしくん(945pt)→千夏(只野) 「この前は君の方から言ってきて、君のつごうで約束とりやめにしたんだから、今度は君が僕の言うこと聞く番じゃないのか?」
そんな感じだから
千夏(只野)→そんな客(-pt) 「あーうるさい!、会って面白くもなさそうならわざわざ会いに行く必要もねーじゃん」
というようなぶっきらぼうなメールをついうっかり出した後で、
怒った返事でも返ってくるかなー?と、思ってると、
そんな客(-pt)→千夏(只野) 「ごめんね、何かボク、気にさわること言っちゃったかな??」
みたいな返事が返ってきたりで、よくわからない。
こんな『千夏』を本命にする、それらしいお客がいた。
土木作業員の人だった。
けんぞう(1945pt)→千夏(只野) 「でよ、コンクリうってもう終わりかなって頃になって、誰もミキサー車頼んでないのに気づいてよ。それで大慌てで呼んだわけ。」
千夏(只野)→けんぞう(1945pt) 「あ、そう。」
けんぞう(1910pt)→千夏(只野) 「だけど急じゃ砂やら水やら全然混じってないわけ、そんなだから混ざるまで全員で座りこんで缶コーヒーよ。だからこの前は行けなかった」
千夏(只野)→けんぞう(1910pt) 「へぇ。」
けんぞう(1875pt)→千夏(只野) 「なんだよ、ずいぶんつれねぇな、お前ひょっとして今日、生理なんじゃねーの?」
千夏(只野)→けんぞう(1875pt) 「うっせーな男にはわかんねー辛さってのがあんだよ」
けんぞう(1840pt)→千夏(只野) 「そうか、そうか、悪かった。俺がわるい。なんでも聞くから」
千夏(只野)→けんぞう(1840pt) 「そんなデリカシーねぇからこんな所(出会い系サイト)で女みっけることになるんだよ」
けんぞう(1805pt)→千夏(只野) 「いやや…僕はこれでもモテるけどなキャバクラ姉ちゃんとか、あは、あはは。」
千夏(只野)→けんぞう(1805pt) 「そういうことを言うんだから、罰として今度会うのはお預けな。」
けんぞう(1770pt)→千夏(只野) 「えー、それが一番こたえるなぁでも、他になにか言うことないの?今は、なーんでも聞いたげるよ」
千夏(只野)→けんぞう(1770pt) 「でも、メールだけはしたい。」
けんぞう(1735pt)→千夏(只野) 「はいはい、どうぞ。」
千夏(只野)→けんぞう(1735pt) 「もう!そっちから、何か言ってよ!」
けんぞう(1700pt)→千夏(只野) 「そうね、とにかく暖かくしてるんだぞー」
優しい言葉で近づいてきて、会う約束をかわすと、とたんにキレて責めたてる。
サクラ稼業なんて、そんな客との日々の戦い。
でも、自分自身が本当に辛いとき、
こういう普段はぶっきらぼうだし、言葉もわるいけど、いざというときは優しい…
こんな関係のカップルもいいかな?と思った。