10.「お前、サクラだろ?」
サクラになってほんの数日がたった。
何通かメールして、サイト外に連れ出そうとしてくるのを何度かかわして…
そうしていた客からいきなりこんなメールがきた。
翼くん(1705pt) → えみ(只野)「ところであんた?サクラだろ?」
えみ(只野) → 翼くん(1705pt)「サクラってなあに?」
翼くん(1670pt) → えみ(只野)「無駄にポイント使わせるために、サイトに雇われた人なんじゃないかってこと。」
図星である。
えみ(只野) → 翼くん(1670pt)「そんなことして私に何の得になるのわたしを疑うんですかぁ?」
翼くん(1635pt) → えみ(只野)「サクラじゃなかったら出てこれるだろ?出てきて自分はサクラじゃないって証明しろよ。」
・・客なりの、呼び出すためのテクニックだったらしい。
えみ(只野) → 翼くん(1635pt)「サクラじゃないけど、証明しないといけない理由がわからない…」
翼くん(1600pt) → えみ(只野)「じゃ、お前はサクラだ。もうメールしてくんな!ボケ!」
少し気分が悪くなった。でも、サクラの存在に気づいているのは少数派だった。
客は、メールをくれる相手は一般の女(の子)だと思っている。
料金を払っているのは男だけ。
そこから生まれる客意識か、傲慢な男も多かった。
むしろ、良い人をだますより意地の悪い人を騙すほうが良心の咎がなくていいかも。
でも、こんなこと以上に戸惑ったのは、次に私が話す、わたしが知らなかった男の本性だった。