6.「出会い系」なのに出会えない。
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・・・・。
「キャラの名前のとこクリックしたら、そのキャラが受信した客の一覧が出るよ。」
そう言われて開けてみたのが上である。
「あの、私の直接のアドレス教えてくれとか、会いに来いとか言ってきてるんですけど、本当にアドレス送ったり、会いにいったりするわけじゃないですよね?」
不安になってそう訊いた。
隣の席に座っていた男の子がこっちを向いて、言った。
「アドレスは会った時に渡すからって、書いて送っとけばいいよ。」
管理の白石さんはうなずいた。
「こっちは女だから、安心できる相手かわからないうちは怖いと。個人情報だからって。何通かメールして、あなたが安心できる相手とわかったら、アドレス送るし、会いにいきますってことにする。これは定石だから。」
「まぁ、その時は永久に来ないワケだけど。」
さっきの男の子が言う。
「それでも納得しないようなら、ほら、最近出会い系サイトで知り合った相手に殺されたりとか、事件おきてるじゃない?とか、この前会いに行った人にさらわれそうになってトラウマなの。とか、理由でも何かつけて送っとけばいいよ。」
「とにかく女だから。いざとなったら弱い、怖いと。徹底的にその立場を盾に利用する事。安心させてくれないなら、させてくれる相手を別に探します。みたいな。男も自分が嫌われるのは嫌だから、そう無理は言ってこないはず。」
「『返信』を押したらその客とキャラとの履歴と、返信フォームが開くから、何か書いて送ってみよう。することあるから、わからないことは周りの人なりに聞いて。」
白石さんは、そこまで言うと、管理の席へと帰っていった。
さきほど、私にアドバイスしてくれた男の子にきいた。
「ここって、本物の女の会員はいないの?」
「いることは、いる。らしい。でも、コンマ1パーセント以下だと思う。毎日毎日うちらが、何十キャラもつくって送りつけていてるのに、本当の女が登録してくるのは数ヶ月に一人か二人くらいだから…。」
そう答えてくれた。
「あはは…」
これを『出会い系』と呼んでいいんだろうか?