4.キャラ、誕生。 | 携帯男

4.キャラ、誕生。

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第1章(サクラ・イントロデュース)

(注意!)imode用絵文字フォントを、お使いのパソコンにインストールしていない場合、絵文字部分がのようになったり、表示されません!

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面接の次の日、サクラとして初出勤だった。
わたしと同世代くらいの女性と、一緒に研修だという。


(いくぶんやりやすい。よかった。)
正直、そう思った。


出社すると、彼女はわたしより先に職場に来ていた。
「関野です。」
恥ずかしそうに、そう名乗った。


「じゃあ、こっちへ。白石君、お願い。」
森野氏から管理の人へ引き渡された。


わたし達のために、空けられた席へ通される。
これから二人ならんで研修…。


「あ、はじめまして。管理の白石です。」


管理の白石さん。
細身で長身。Tシャツでジーパン履きの、大学生風の青年だった。
(いやみがなく、話やすそう…)
その時は、確かそう思った。


管理とは、サイトでサクラのシフトを管理したり、サクラの出すメールにNGワードが使われてないかチェックしたり、文字通りそのサイトを管理する責任者である。


白石さんは私と関野さんを席につけ、背後に立った。


「うん、じゃ、パソコンを起動してください。大きい丸のボタンね。」


わたしが家でも使っている、ウィンドウズMeの起動画面が現れた。


「まず、架空の女の子のキャラクターを3個作ってください。
最初に名前を考えて…女の子らしい名前ね。それからそれぞれに「趣味はスキーです。」とか「人妻で不倫相手さがしてます。」とかプロフィールをつけていってください。できたら呼んでくれる?」


「あっ、一人何行くらいのですか?プロフィールは…」関野さんが遠慮がちに聞いた。


「そうね。2,3行くらい。あと、その3人のキャラクターはそれぞれタイプが違うようににばらけさせたほうがいいと思う。それと、ひらがなで『えもじ』って入れたら携帯で使ってる絵文字が使えるからね。そのパソコンでも。」


そう言い残して、さっきまで座っていた管理の端末がある席へ戻って行った。


わたしはウィンドウズについている「メモ帳」を起動した。関野さんもそれに習った。

わたしは、3人分のキャラを作った。

kyaratanjyou01.jpg

関野さんが傍からそっと、私の作業しているモニターを覗いた。
「え~? 人妻いれるの!?」
私が彼女のを読もうとすると、恥ずかしそうにおどけて隠した。


「できました。」
「うーん。イケメンね…」
管理は(どうかな?)って顔をする。


「ま、いいか。OK。たまにはこういうの混ぜるほうが自然かもね。それと、これがあなたたちのIDです。エクスプローラー使って、サクラの作業用サイトへ入るために必要なものです。」


そういって名前と数字がかかれたポストイット片を、私たち二人に配った。


「デスクトップのショートカットから作業用サイトへ入ってくれる?そしたらパスワードの入力画面が出るから… 今、配ったパスワード入れてください。あと、この紙はなくさないで!」


言われたとおりにする。

私の名前、「只野さくら」でログインできた。
さっき管理の席にもどったのは、わたしたちのIDをつくってたようである。


「じゃ、マルチポストって書いてあるボタンを押してくれる?」


「えーと。対象が『全県』。『書き込み時間』が今の時間から後で、適当に。キャラ名のとこに名前と、さっき作ってもらった文章貼りつけてくれる?メールのタイトルもつけて…」

kyaratanjyou02.jpg

「で、『登録』を押します。」


言われた通りにした。
すると、ブラウザが何かの処理をするように、暫くまたたいた。
そして、またさっきのマルチポスト画面に戻った。
同時に、左側の持ちキャラ欄にさっき入れたキャラの名前が現れた。

kyaratanjyou03.jpg

「今やってもらったのが『マルチポスト』という処理です。うちのサイトの、女性の紹介を載せているページに、さっきの情報が『書き込み時間』に表示されるんです。で、男性客がそれを見て、気に入ったキャラにメールを送ると。キャラは、あなたたちの分身ですから。」


時計を見た。
出社してから20分たっていた。


「じゃ、あと残りの2キャラも同様に登録してください。」



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